ごくねつのさうやく 極熱の草薬 02-115
『医心房』に「大蒜ハ熱ナリ、風ヲ除ク」とある。
声もはやりかにて言ふやう 月ごろ 風病重きに堪へかねて 極熱の草薬を服して いと臭きによりなむ え対面賜はらぬ 目のあたりならずとも さるべからむ雑事らは承らむと いとあはれにむべむべしく言ひはべり
声もせかせかした調子で言うには、「この幾月か風病のひどさに耐えかねて、極熱冷ましの薬草を服してひどく臭きがゆえ対面しいたしかねます。面前ならずとも、妻のいたすべき雑用などは承ります」と、とても心を込めながら理屈然と述べ立てるのです。