おもひたまへしを 思ひたまへしを おもいたまえしを 思いたまえしを 02-108
後ろにかかる語句がないので文を切る。「を」は詠嘆を表す間投助詞。
いと忍びて見そめたりし人の さても見つべかりしけはひなりしかば ながらふべきものとしも思ひたまへざりしかど 馴れゆくままにあはれとおぼえしかば 絶え絶え忘れぬものに思ひたまへしを
「たいそう人目を忍んでいい仲になった女が、秘密裏のままのつき合ってゆけそうな感じでしたので、長続きしそうな関係とも思っておりませんでしたが、馴れゆくうちにはいとしく思えてきて、途絶えがちながら忘れられない存在になっていたのですが。