たつたひめといはむ 竜田姫と言はむ たったひめといわむ 竜田姫と言わむ 02-101

2021-06-02

竜田姫は秋に紅葉する竜田川を女神に見たてたもので、染色の神でもある。その神に比せるほど、染色の腕がある女であるということ。「着るべき物、常よりも心とどめたる色あひ、しざまいとあらまほしくて/02-111」を受けた表現。


ひとへにうち頼みたらむ方は さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる はかなきあだ事をもまことの大事をも 言ひあはせたるにかひなからず 龍田姫と言はむにもつきなからず 織女の手にも劣るまじく その方も具して うるさくなむはべりし とて いとあはれと思ひ出でたり

ひたすら信をおこうと思う伴侶としては、こんな風であってほしいとこの女のことがつい思い出されたのです。ちょっとした私的なことでもまことの大事でも相談すればしがいがあり、着物を染め上げる腕前は竜田姫といってもおかしくないし、仕立ての腕はたなばた姫の手にも劣らないくらいであってほしいけれど、ただ例の性格も備わって全くご立派でした」と言って、左馬頭はひどく愛しそうに思い出すのでした。

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