さりとも 然りとも 02-100

2021-06-02

「正身はなし/02-099」ではあるが、左馬頭が着る用に残していった衣類の染め付け、仕立ての良さに見られる思いやりを思うと。


さりとも 絶えて思ひ放つやうはあらじと思うたまへて とかく言ひはべりしを 背きもせずと 尋ねまどはさむとも隠れ忍びず かかやかしからず答へつつ ただ ありしながらは えなむ見過ぐすまじき あらためてのどかに思ひならばなむ あひ見るべきなど言ひしを

こんな状態にありながらも決して向うから見放すような真似はすまいと思いまして何だかんだと責め立てましたが、きっぱり別れるでもなく尋ねあぐねて困るように姿をくらますでもなく、こちらの面子をつぶさぬ程度に応じながら、ただ「以前のままではとても見過ごすことはできません。浮気な心を改め落ち着いた気持ちにおなりなら一緒になりましょう」などと言いましたのを、

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