このかた この方 02-096
嫉妬。
そのかみ思ひはべりしやう かうあながちに従ひ怖ぢたる人なめり いかで懲るばかりのわざして おどして この方もすこしよろしくもなり さがなさもやめむと思ひて まことに憂しなども思ひて絶えぬべき気色ならば かばかり我に従ふ心ならば思ひ懲りなむと思うたまへ得て ことさらに情けなくつれなきさまを見せて 例の腹立ち怨ずるに
その当初思いましたことには、こうもむやみに従順で怯えてばかりいる女のようだ、何とか懲りごりする目をみせ脅しつけて、例の方面でもすこしましにもなり口やかましいのも直してやろうと、本当にうんざりだとでも思って金輪際縁切りだと素振りを示せば、これほど自分に従う気持ちがあるならきっと思い懲りるだろうと思い至り、ことさらに容赦なくつれない様子を見せますと、例によって腹立ち恨みたてるのに乗じて、