かうあながちにしたがひおぢたる かうあながちに従ひ怖ぢたる こうあながちにしたがいおじたる こうあながちに従い怖じたる 02-096
「かう」が何を指すか。「あながちに従ひ」に関しては「とかくになびきてなよびゆき/097」に見られる。「(あながちに)怖ぢたる」に関しては明瞭でないが、左馬頭に疎まれることをひどく恐れている「(この人に見や疎まれむと)わりなく思ひ/02-097」に表れている。
そのかみ思ひはべりしやう かうあながちに従ひ怖ぢたる人なめり いかで懲るばかりのわざして おどして この方もすこしよろしくもなり さがなさもやめむと思ひて まことに憂しなども思ひて絶えぬべき気色ならば かばかり我に従ふ心ならば思ひ懲りなむと思うたまへ得て ことさらに情けなくつれなきさまを見せて 例の腹立ち怨ずるに
その当初思いましたことには、こうもむやみに従順で怯えてばかりいる女のようだ、何とか懲りごりする目をみせ脅しつけて、例の方面でもすこしましにもなり口やかましいのも直してやろうと、本当にうんざりだとでも思って金輪際縁切りだと素振りを示せば、これほど自分に従う気持ちがあるならきっと思い懲りるだろうと思い至り、ことさらに容赦なくつれない様子を見せますと、例によって腹立ち恨みたてるのに乗じて、