なつかしうらうたげなりしをおぼしいづるに なつかしうらうたげなりしを思し出づるに なつかしうろうたげなりしを思し出づるに 01-093
親しみやすく愛らしい様子を思い出されるにつけ。「なつかしう」は心が近づきやすい。「らうたげ」は可憐な。
大液芙蓉未央柳も げに通ひたりし容貌を 唐めいたる装ひはうるはしうこそありけめ なつかしうらうたげなりしを思し出づるに 花鳥の色にも音にも よそふべき方ぞなき
太液池の芙蓉や未央宮の柳も、詩にいう通り楊貴妃の顔立ちを彷彿とさせるものの、唐風に装うのでは整った美を呈しこそすれ、親しみやすく愛らしかったあの方の姿や声を思い出しになられるにつけ、花の色や鳥の鳴き声に、なぞらえ得る所は見つからないのでした。