少納言の乳母と言ふ 若紫08章08

2021-05-05

原文 読み 意味

少納言の乳母と言ふ人あべし 尋ねて 詳しう語らへ などのたまひ知らす

05128/難易度:☆☆☆

せうなごんのめのと/と/いふ/ひと/あ/べし たづね/て くはしう/かたらへ など/のたまひ/しらす

「少納言の乳母という人がいるはず、これを足がかりに尋ねて、詳しい話をせよ」などとおっしゃって話の内容をお示しになる。

少納言の乳母と言ふ人あべし 尋ねて 詳しう語らへ などのたまひ知らす

大構造と係り受け

古語探訪

少納言の乳母 05128

光が透き見した折、紫の乳母は少納言の乳母と呼ばれていることを知ったのだ。

尋ねて詳しう語らへ 05128

諸注は尋ね、詳しく語る相手を少納言の乳母とするが、すぐあとで見るよう、惟光が語った相手は、「ゆゆしうなむ誰も誰も思しける」とあり、相手は複数でしかも、その中には尊敬語をつけるべき相手がいたのである。その相手はもちろん、尼君であり、光の歌に対する返歌も尼君以外できない内容である。従って、惟光の使命は、少納言の乳母に会うことではなく、少納言の乳母を通して、尼君に話をつけることであったと思われる。それまでは、光の手紙を使者に託しただけであるが、今度は惟光が尼君と会って、もっと具体的に結婚について話し合うのである。そこで話し合うの内容を光は惟光に「のたまひ知ら」せたのだ。

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