ゆかりいとむつまし 若紫07章12

2021-05-05

原文 読み 意味

ゆかりいとむつましきに いかでかと 深うおぼゆ

05120/難易度:☆☆☆

ゆかり/いと/むつましき/に いかで/か/と ふかう/おぼゆ

そのゆかりがまことに慕わしくて、なんとしたいと、深く思い込みになる。

ゆかりいとむつましきに いかでかと 深うおぼゆ

大構造と係り受け

古語探訪

深うおぼゆ 05120

葵が「とかう世を思し乱るること多かり」に対して、光は紫のことと深く考えたのである。「思し乱る」が気持ちがあれこれ散るのに対して、「深くおぼゆ」は一点に集中するのだ。この点からしても、「思し乱るる」の主体は光ではなく、葵である。結局、この段は、前回葵が「世を思し乱」れている間、光はなにをしていたかを物語っているのだ。他の古典は知らない、源氏物語に限っては、近代文学を読むときとは比較にならない精緻さが必要である。物語内時間に限らずである。

Posted by 管理者