すこしねぶたげなる 若紫05章02

2021-04-28

原文 読み 意味

すこしねぶたげなる読経の絶え絶えすごく聞こゆるなど すずろなる人も 所からものあはれなり まして 思しめぐらすこと多くて まどろませたまはず 初夜と言ひしかども 夜もいたう更けにけり

05065/難易度:☆☆☆

すこし/ねぶたげ/なる/どきやう/の/たエだエ/すごく/きこゆる/など すずろ/なる/ひと/も ところから/もの-あはれ/なり まして おぼし/めぐらす/こと/おほく/て まどろま/せ/たまは/ず そや/と/いひ/しか/ども よる/も/いたう/ふけ/に/けり

すこし眠たそうな読経が、途絶えがちに身にしみて聞こえてくるなど、供周りようの縁無き者たちも、場所柄、人の世のあはれを感じる。まして君は、この世のあわれのみならず、思い巡らしになる悩みが多くて、お休みになられない。初夜と言っていたが、夜もたいそうふけていた。

すこしねぶたげなる読経の絶え絶えすごく聞こゆるなど すずろなる人も 所からものあはれなり まして 思しめぐらすこと多くて まどろませたまはず 初夜と言ひしかども 夜もいたう更けにけり

大構造と係り受け

古語探訪

読経 05065

僧都の初夜の読経。

すごく 05065

身にしみる。荘厳なイメージ。

すずろなる人 05065

無関係な人の意味だが、「も」を介して「所がら」と対立するところから、この場所に関係ない人のこと、すなわち、仏道に縁のない人である。そんな人でも場所柄、仏道の心がわかるという流れ。具体的には、供周りの人たち。

ものあはれ 05065

「もの」は運命。人の世がはかないことから来る思いである。「まして」は、供周りの人にもまして光は、仏道に縁のある人であり、もののあはれを強く感じるはずだが、という省略がある。「まして」を「まどろまれたまはず」につなげたのでは、まえの一文「すずろなる人も所がらものあはれなり」が意味をなさなくなる。

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