すこし小さくて ね 若紫16章03

2021-05-14

原文 読み 意味

すこし小さくて
 ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを
とあり

05259/難易度:☆☆☆

すこし/ちひさく/て
 ね/は/み/ね/ど/あはれ/と/ぞ/おもふ/むさしの/の/つゆ/わけ/わぶる/くさ/の/ゆかり/を
と/あり

すこし小さな字で、
《共寝もせずまだその正体である根を見ないが 愛しく思う武蔵野の 露をわけて逢いに行きがたい紫草の そのゆかりであるあなたのことを》
と、添えてある。

すこし小さくて
 ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを
とあり

大構造と係り受け

古語探訪

ねは見ねど 05259

「根」を見ていないと、「寝」たことがないの意味をかける。「根」とあるのは、以前、光が尼君に対して紫を引き取りたいと思って詠んだ歌「手に摘みていつしかも見む紫の根にかよひける野辺の若草」が響いている。

露分けわぶる草 05259

露をわけてそこへ行くことができかねる草の意味で、この草は藤壺を指す。その「ゆかり」はもちろん、この女君。

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