また人も出で来ねば 若紫12章14

2021-05-09

原文 読み 意味

また人も出で来ねば 帰るも情けなけれど 明けゆく空もはしたなくて殿へおはしぬ

05205/難易度:☆☆☆

また/ひと/も/いで/こ/ね/ば かへる/も/なさけなけれ/ど あけゆく/そら/も/はしたなく/て/との/へ/おはし/ぬ

再び誰も出てこないので、帰るのも愛情のないことだが、明け行く空に訪れるのも不作法で格好がつかないので、二条院へ戻られた。

また人も出で来ねば 帰るも情けなけれど 明けゆく空もはしたなくて殿へおはしぬ

大構造と係り受け

古語探訪

情け 05205

風情ではなく、女への愛情。

明けゆく空もはしたなくて 05205

空が明けてゆくのでみっともないではない。夜明けに女のもとへ通うことが、その女に対して無礼でみっともないこと。周りの目でなく、相手の女の目を気にしているのである。それは、女のもとへ通うのは夕方かた夜と決まっていた。朝は別れの時間なのだ。それなのに、女の門を叩いたということは、どこかよその女の帰りであることを意味する。

殿 05205

二条院。

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