かひなくて御供に声 若紫12章12

2021-05-13

原文 読み 意味

かひなくて 御供に声ある人して歌はせたまふ
 朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも行き過ぎがたき妹が門かな
と 二返りばかり歌ひたるに

05203/難易度:☆☆☆

かひなく/て おほむ-とも/に/こゑ/ある/ひと/して/うたは/せ/たまふ
 あさぼらけ/きり/たつ/そら/の/まよひ/に/も/ゆきすぎ/がたき/いもがかど/かな
と ふたかへり/ばかり/うたひ/たる/に

仕方なくて、お供の中で声のよい者に歌を吟じさせになる。
《あさぼらけ 霧立つ空に 気持ちも空と迷ううちにも 素通りしがたい恋しい人の門かな》
と、二度ばかり朗唱したところ、

かひなくて 御供に声ある人して歌はせたまふ
 朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも行き過ぎがたき妹が門かな
と 二返りばかり歌ひたるに

大構造と係り受け

古語探訪

空のまよひ 05203

霧が立つ自然の空と、心も空となって迷うという二つの意味がかかっている。

いも 05203

恋しい人への呼びかけ。

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