日高くなれど起き上 夕顔09章03

2021-04-23

原文 読み 意味

日高くなれど 起き上がりたまはねば 人びとあやしがりて 御粥などそそのかしきこゆれど 苦しくて いと心細く思さるるに 内裏より御使あり 昨日 え尋ね出でたてまつらざりしより おぼつかながらせたまふ 大殿の君達参りたまへど 頭中将ばかりを 立ちながら こなたに入りたまへ とのたまひて 御簾の内ながらのたまふ

04106/難易度:☆☆☆

ひ/たかく/なれ/ど おきあがり/たまは/ね/ば ひとびと/あやしがり/て おほむ-かゆ/など/そそのかし/きこゆれ/ど くるしく/て いと/こころぼそく/おぼさ/るる/に うち/より/おほむ-つかひ/あり きのふ え/たづねいで/たてまつら/ざり/し/より おぼつかながら/せ/たまふ おほとの/の/きむだち/まゐり/たまへ/ど とう-の-ちうじやう/ばかり/を たち/ながら こなた/に/いり/たまへ と/のたまひ/て みす/の/うち/ながら/のたまふ

日が高くなったけれど、お起きにならないので、周り者たちが不審がって、お粥などおすすめするが、苦しくてとても気を弱くなさっているところへ、内裏より帝のお使いがあって、きのう若君をお探し申し上げられなかったため、帝はご心配なさっているのだ。左大臣のご子息方もおいでになるが、頭中将だけを、「立ったままですが、こちらへお入りください」と廂の間にお通しになり、御簾を隔ててお話される。

日高くなれど 起き上がりたまはねば 人びとあやしがりて 御粥などそそのかしきこゆれど 苦しくて いと心細く思さるるに 内裏より御使あり 昨日 え尋ね出でたてまつらざりしより おぼつかながらせたまふ 大殿の君達参りたまへど 頭中将ばかりを 立ちながら こなたに入りたまへ とのたまひて 御簾の内ながらのたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

昨日え尋ね出でたてまつらざりしより 04106

先に「内裏にいかに求めさせたまふらむをいづこに尋ぬらむ、と思しやりて」(帝におかれては、どれほどわたくしを探しておいでだろう、使者がどこへ尋ねていることかとご心配になって)/04138」とあった。

立ちながらこなたに入りたまへ 04106

死穢に触れた者を見舞う客は、穢れを恐れ着座せず御簾の外で挨拶する慣わしがあった。「こなたに」は、 簀子から廂の間に招じ入れたのであろう。しかし、母屋の中とは御簾で仕切られる。

御簾の内ながらのたまふ 04106

以下の話しが御簾越しであったとのこと。

Posted by 管理者