南殿の鬼のなにがし 夕顔07章15

2021-04-23

原文 読み 意味

南殿の鬼の なにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて 心強く さりとも いたづらになり果てたまはじ 夜の声はおどろおどろし あなかま と諌めたまひて いとあわたたしきに あきれたる心地したまふ

04091/難易度:☆☆☆

なでん/の/おに/の なにがし/の/おとど/おびやかし/ける/たとひ/を/おぼし/いで/て こころづよく さりとも いたづら/に/なり/はて/たまは/じ よる/の/こゑ/は/おどろおどろし あなかま と/いさめ/たまひ/て いと/あわたたしき/に あきれ/たる/ここち/し/たまふ

南殿で鬼がなにがし大臣を脅かした例を思い出され、心強く、「それでもおしまいになってしまわれはしまい。夜中の声は気味悪くてならない。静かにせよ」とお諌めになり、切羽詰った状況に茫然たる気持ちでいらっしゃる。

南殿の鬼の なにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて 心強く さりとも いたづらになり果てたまはじ 夜の声はおどろおどろし あなかま と諌めたまひて いとあわたたしきに あきれたる心地したまふ

大構造と係り受け

古語探訪

南殿の鬼のなにがしの大臣脅やかしけるたとひを思し出でて 04091

太政大臣忠平が紫宸殿で鬼に襲われたときに、勇気を出して鬼を一喝した例を思い出し、ここで気持ちを萎えさせてはいけないと、右近を叱るようにして自分を鼓舞しているのである。

さりとも 04091

「けはひもの疎くなりゆく」ばかりに夕顔の体は冷え切ってしまっているが、それでもの意味。

いたづらになり果て 04091

死ぬの朧化。

夜の声 04091

右近が泣きじゃくる声。

あきれたる 04091

途方にくれる。

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