けうとくもなりにけ 夕顔06章08

2021-04-22

原文 読み 意味

けうとくもなりにける所かな さりとも 鬼なども我をば見許してむ とのたまふ

04070/難易度:☆☆☆

けうとく/も/なり/に/ける/ところ/かな さりとも おに/など/も/われ/を/ば/みゆるし/て/む と/のたまふ

「疎まれるまでになってしまったな。それでも、鬼なども私を見逃してくれよう」と、おっしゃる。

けうとくもなりにける所かな さりとも 鬼なども我をば見許してむ とのたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

けうとくもなりにける所かな 04070

直前の地の文「いとけうとげになりにける所かな/04069」と酷似しているため、不審に思われている個所であるが、ここは「も……かな」という呼応で、光の実感を表している。光の実感とは何か、それは過去に得ていた印象とのギャップである。「うとくも」とあることからして、かつては親密な心の交流がこの場所とできていたのである。それがあるから、こうなった今でも「鬼なども我をば見ゆるしてん」とつながるのである。すなわち、ここは光にとって、慣れ親しんだ憩いの場であったのだ。

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