大徳たちも誰とは知 夕顔10章15

2021-04-23

原文 読み 意味

大徳たちも 誰とは知らぬに あやしと思ひて 皆 涙落としけり

04123/難易度:☆☆☆

だいとこ-たち/も たれ/と/は/しら/ぬ/に あやし/と/おもひ/て みな なみだ/おとし/けり

高徳の僧たちも、誰の葬儀とも知らぬのに、不思議と気持ちが動いて、みな涙を落とすのだった。

大徳たちも 誰とは知らぬに あやしと思ひて 皆 涙落としけり

大構造と係り受け

古語探訪

誰とも知らぬ 04123

死者の夕顔や通夜にきた光のことを誰か知らない。惟光が先に「さらぬ法師ばらなどにも、みな言ひなすさまことにはべる(そうでない法師たちにも、真実とは違う別の作り事をつたえた)」とあった。「あやしと思ひて」の「て」は順接だから、「あやし」は訝るの意味ではない。死者に訴えかける光の言葉を聞いて、僧侶たちも自分でもわからないほど同情してということ。ここでの「あやし」は不思議なほど気持ちがひきつけられるとの意味である。

けり 04123

詠嘆。

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