入りたまへれば灯取 夕顔10章13

2021-04-23

原文 読み 意味

入りたまへれば 灯取り背けて 右近は屏風隔てて臥したり いかにわびしからむと 見たまふ 恐ろしきけもおぼえず いとらうたげなるさまして まだいささか変りたるところなし

04121/難易度:☆☆☆

いり/たまへ/れ/ば ひ/とり/そむけ/て うこん/は/びやうぶ/へだて/て/ふし/たり いかに/わびしから/む/と み/たまふ おそろしき/け/も/おぼエ/ず いと/らうたげ/なる/さま/し/て まだ/いささか/かはり/たる/ところ/なし

君が板屋にお入りになると、右近は灯火を亡骸から遠ざ、屏風の裏で横になっていた。どんなに心細く思っていようかとごらんになる。亡骸は恐ろしい感じもせず、とても愛らしい様子で、まだ生前といささかも変ったところがない。

入りたまへれば 灯取り背けて 右近は屏風隔てて臥したり いかにわびしからむと 見たまふ 恐ろしきけもおぼえず いとらうたげなるさまして まだいささか変りたるところなし

大構造と係り受け

古語探訪

入り 04121

板屋に。

背けて 04121

亡骸である夕顔から背けて。

いかにわびしからむ 04121

ここが「あたりさへすごき」場所であり、灯りがあたらず、いつも側にいた右近が側についていないという今ある状況と、自分が一緒にいてやれなかったことへの後悔から。

Posted by 管理者