A:解釈を決定づける基幹語– tax –
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きこえごちはべりしかど 聞こえごちはべりしかど 02-114
「聞こゆ」は、自動詞で「聞こえてくる」(「ゆ」は受け身、ないし自発)、他動詞で「申し上げる」(「言ふ」の謙譲語)。他動詞用法では、主体が娘の父親となり、藤式部丞に対して謙譲語を用いるのはおかしい。直前の「となむ」の後ろに「仰せらるる」等... -
わがふたつのみちうたふをきけ わが両つの途歌ふを聴け わがふたつのみちうたうをきけ わが両つの途歌うを聴け 02-114
『白氏文集』「秦中吟」の「議婚」中の句「聴我歌両途」。今まさに、綺羅を着飾った十六歳の金持ちの娘が嫁ごうとしている。その家の納屋には二十歳の貧しい娘が良縁に恵まれずに住んでいる。酒樽が置かれ、祝宴にかけつけた人々になみなみと酒が注がれた... -
みなわらひぬ みな笑ひぬ みなわらいぬ みな笑いぬ 02-112
「みな笑ひぬ」には敬語が使われていない。この「みな」は「話に参加しているもの皆」の意味であって、光はその場にいながら笑いの輪には加わっていなかったことがわかる。雨夜の品定めにより中流の女に興味を持つようになり、以後の帖で、実際に中流の女... -
のたまへるはかなきためし のたまへるはかなき例 のたまえるはかなきためし のたまえるはかなき例 02-111
諸注にあるように「艶にもの恥」の例でなく、「はかなきついでの情けあり/02-057」を受ける。左馬頭はその具体例として指を喰う女を挙げた。それは本心の怒りを表面的にやさしさで覆った女であった。常夏の場合、表面的な表情しか見えず、怒りも何も本心を... -
まづちりをだに まず塵をだに まずちりをだに まず塵をだに 02-110
今後は何をおいても、通いつめ、夜がれで淋しい思いをさせないの意味。「塵をだに据ゑじとぞ思ふ咲きしより妹とわが寝る常夏の花」(古今和歌集 夏 凡河内躬恒)を下に敷く。毎晩床入りすれば塵が積もるようなことはない。 大和撫子をばさしおきて まづ...