さしぐみに袖ぬら 若紫05章20
原文 読み 意味
さしぐみに袖ぬらしける山水に澄める心は騒ぎやはする
耳馴れはべりにけりや と聞こえたまふ
05083/難易度:☆☆☆
さしぐみ/に/そで/ぬらし/ける/やまみづ/に/すめ/る/こころ/は/さわぎ/やは/する
みみ/なれ/はべり/に/けり/や と/きこエ/たまふ
《ふとしたことで袖をお濡らしになった山水だが ここに住みなれた澄んだ心はそんなことでは動じません》
耳慣れてしまっておりますもので」と申し上げになる。
さしぐみに袖ぬらしける山水に澄める心は騒ぎやはする
耳馴れはべりにけりや と聞こえたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
さしぐみに 05083
急にの意味と、「さしくみ」の涙がわくの意味をかける。
すめる 05083
住めると澄めるをかける。「うちつけなる御夢物語」と「さしぐみに袖ぬらしける」がパラレルであり、光の色気に対しても懺悔に対してもともに、唐突で根のないものだとしている点に注意したい。