いさ見しかば心地の 若紫10章14
目次
原文 読み 意味
いさ 見しかば心地の悪しさなぐさみき とのたまひしかばぞかし と かしこきこと聞こえたりと思してのたまふ
05170/難易度:☆☆☆
いさ み/しか/ば ここち/の/あしさ/なぐさみ/き と/のたまひ/しか/ば/ぞ/かし と かしこき/こと/きこエ/たり/と/おぼし/て/のたまふ
「だって、ごらんになったら気分の悪いのが治まったと前におっしゃったから申しげるのを」と、霊験あることを聞いたものだと思っておっしゃるのである。
いさ 見しかば心地の悪しさなぐさみき とのたまひしかばぞかし と かしこきこと聞こえたりと思してのたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
いさ 05170
静かにと制する女房たちに対する反発表現。
見しかば心地の悪しきなぐさみき 05170
以前尼君が洩らした言葉。光の姿を見たら気分がすっきりしたという尼君の体験談。
のたまひしかばぞかし 05170
尼君がそうおっしゃてたので、自分は尼君に見るよう勧めているのであると、女房たちに対する抗弁。
かしこきこと 05170
「かしこし」とは神仏など畏敬の対象に対してもつ心情。ここは、光を見たら病気が治るという力に対して、かしこしを感じ、尼君の体験を、かしこしことと言っているのである。こういう表現は原義を押さえてから解釈を考えるようにしたい。
聞こえたり 05170
尼君の言葉を紫が聞いたこと。