中将の君もおどろお 若紫09章17

2021-05-07

原文 読み 意味

中将の君も おどろおどろしうさま異なる夢を見たまひて 合はする者を召して 問はせたまへば 及びなう思しもかけぬ筋のことを合はせけり

05152/難易度:☆☆☆

ちゆうじようのきみ/も おどろおどろしう/さま/こと/なる/ゆめ/を/み/たまひ/て あはする/もの/を/めし/て とは/せ/たまへ/ば および/なう/おぼし/も/かけ/ぬ/すぢ/の/こと/を/あはせ/けり

中将の君(光こと)も、仰天するような異様な夢をごらんになり、夢合わせをする術士を召して従者に質問させになると、まったくありそうにない想像もつかない筋合いの夢解きを合わせるのだった。

中将の君も おどろおどろしうさま異なる夢を見たまひて 合はする者を召して 問はせたまへば 及びなう思しもかけぬ筋のことを合はせけり

大構造と係り受け

古語探訪

中将の君 05152

近衛中将である光のこと。

合はする者 05152

夢占いをする者。

問はせたまへば 05152

「せたまへ」は二重敬語でなく、使役に尊敬のついた形。

及びなう 05152

光の身分では遠く及ぶことのないこと。光の子孫から天皇が出るといったところであろう。皇統は皇太子である兄の血筋にあるのだから、光の子孫から天皇が出るとは考えにくいのだ。天皇の父親になるとまで具体的である必要はないし、逆に、この時点でそこまではっきりしたものであるのはおかしいであろう。謀反ということになりかねない。

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