御返し 汲み初めて 若紫08章14

2021-05-13

原文 読み 意味

御返し
 汲み初めてくやしと聞きし山の井の浅きながらや影を見るべき

05134/難易度:☆☆☆

おほむ-かへし
 くみ/そめ/て/くやし/と/きき/し/やまのゐ/の/あさき/ながら/や/かげ/を/みる/べき

ご返歌は、
《汲んでみて初めて 後悔すると聞きました 山の井戸です その井戸くらい浅いお気持ちのままでは とても影は見えないし 姫君をお与えすべくもありません》

御返し
 汲み初めてくやしと聞きし山の井の浅きながらや影を見るべき

大構造と係り受け

古語探訪

汲み初めて 05134

この歌は、「くやしくぞ汲みそめてける浅ければ袖のみ濡るる山の井の水(くやしいものだ、汲み始めたあとで、あなたの気持ちが浅いのを知り、体は濡れず、袖をのみ濡らす夜になるとは、ちょうど量の少ない山の井の水のように)」(古今六帖)を下に引く。

影を見るべき 05134

光の「など……かけ離る(どうして影が近くにないのか)」に対する尼君の答えで、影を見ないのは当然だとの意味。「見る」には男女が契る意味があるので、結婚させるわけにはいかないの意味にもなる。結婚を許す許さないと言える立場にあるのは、尼君だけである。少納言の乳母が返歌したのではないのだ。

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