暮れかかりぬれどお 若紫01章22

2021-04-26

原文 読み 意味

暮れかかりぬれど おこらせたまはずなりぬるにこそはあめれ はや帰らせたまひなむ とあるを 大徳 御もののけなど 加はれるさまにおはしましけるを 今宵は なほ静かに加持など参りて 出でさせたまへ と申す

05022/難易度:☆☆☆

くれ/かかり/ぬれ/ど おこら/せ/たまは/ず/なり/ぬる/に/こそ/は/あ/めれ はや/かへら/せ/たまひ/な/む と/ある/を だいとこ おほむ-もののけ/など くははれ/る/さま/に/おはしまし/ける/を こよひ/は なほ/しづか/に/かぢ/など/まゐり/て いで/させ/たまへ と/まうす

「日も暮れかけてまいりましたが、発作も出なくなられたようですのに。はやく都へお帰りなされては」と進言する者がいるのを、大徳は、「病気だけでなく物の怪なんかも憑いているご様子でいらしたのに、今晩はなお静かに加持などお受けになって、それからお立ちなさいませ」と申し上げる。

暮れかかりぬれど おこらせたまはずなりぬるにこそはあめれ はや帰らせたまひなむ とあるを 大徳 御もののけなど 加はれるさまにおはしましけるを 今宵は なほ静かに加持など参りて 出でさせたまへ と申す

大構造と係り受け

古語探訪

暮れかかりぬれど 05022

「つ」は他動詞につきやすく、動作をしてしまった感じ。それに対して、「ぬ」は自動詞につきやすく、自然がそういう状態になっているという感じ。

おこらせ 05022

気が発病しない。

なりぬるに 05022

「に」は断定の「なり」の連用形。

こそはあめれ 05022

逆接で下につづくが、その部分を欠く。(病気が治ったのに)どうしているのか、くらいが省略されている。

御もののけ 05022

「御」は光に取りついた霊だから、光のものとして敬語が使われている。

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