夜昼恋ひきこえたま 若紫13章06
目次
原文 読み 意味
夜昼恋ひきこえたまふに はかなきものもきこしめさず とて げにいといたう面痩せたまへれど いとあてにうつくしく なかなか見えたまふ
05213/難易度:☆☆☆
よる/ひる/こひ/きこエ/たまふ/に はかなき/もの/も/きこしめさ/ず とて げに/いと/いたう/おもやせ/たまへ/れ/ど いと/あて/に/うつくしく なかなか/みエ/たまふ
「夜も昼も尼君を恋い慕い上げになって、ちょっとしたものでもお召し上がりになりません」という具合で、なるほどたいそうひどく顔が痩せておられるが、とても気品があってかわいらしく、それでもお見えになる。
夜昼恋ひきこえたまふに はかなきものもきこしめさず とて げにいといたう面痩せたまへれど いとあてにうつくしく なかなか見えたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
恋ひきこえたまふ 05213
対象は、亡き尼君。
はかなきもの 05213
まともな食事ではなく、軽いたべもの。すなわち、ちゃんとした食事は食べにくいだろうから、食べやすそうなちょっとしたものを出すが、それも受け付けないということ。
なかなか 05213
平安美人は頬がぽっちゃりとした下ぶくれである。面が痩せていたのでは、みにくいことになる。しかしそれなのに、「あてにうつくしく」(気品があってかわいい)見えたのである。「なかなか」という副詞は、「いとあてに」の前に置き換えてみるとわかりやすい。