夜昼恋ひきこえたま 若紫13章06

2021-05-10

原文 読み 意味

夜昼恋ひきこえたまふに はかなきものもきこしめさず とて げにいといたう面痩せたまへれど いとあてにうつくしく なかなか見えたまふ

05213/難易度:☆☆☆

よる/ひる/こひ/きこエ/たまふ/に はかなき/もの/も/きこしめさ/ず とて げに/いと/いたう/おもやせ/たまへ/れ/ど いと/あて/に/うつくしく なかなか/みエ/たまふ

「夜も昼も尼君を恋い慕い上げになって、ちょっとしたものでもお召し上がりになりません」という具合で、なるほどたいそうひどく顔が痩せておられるが、とても気品があってかわいらしく、それでもお見えになる。

夜昼恋ひきこえたまふに はかなきものもきこしめさず とて げにいといたう面痩せたまへれど いとあてにうつくしく なかなか見えたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

恋ひきこえたまふ 05213

対象は、亡き尼君。

はかなきもの 05213

まともな食事ではなく、軽いたべもの。すなわち、ちゃんとした食事は食べにくいだろうから、食べやすそうなちょっとしたものを出すが、それも受け付けないということ。

なかなか 05213

平安美人は頬がぽっちゃりとした下ぶくれである。面が痩せていたのでは、みにくいことになる。しかしそれなのに、「あてにうつくしく」(気品があってかわいい)見えたのである。「なかなか」という副詞は、「いとあてに」の前に置き換えてみるとわかりやすい。

Posted by 管理者