さらにかやうの御消 若紫05章06
原文 読み 意味
さらに かやうの御消息 うけたまはりわくべき人もものしたまはぬさまは しろしめしたりげなるを 誰れにかは と聞こゆ
05069/難易度:☆☆☆
さらに かやう/の/おほむ-せうそこ うけたまはり/わく/べき/ひと/も/ものし/たまは/ぬ/さま/は しろしめし-たりげ/なる/を たれ/に/か/は と/きこゆ
「いっこうに、このようなお言づけをお受けして理解のできる人もここにはいらっしゃらない様子は、ご存知であられるようなのに、どなたに対してでしょうか」と申し上げる。
さらに かやうの御消息 うけたまはりわくべき人もものしたまはぬさまは しろしめしたりげなるを 誰れにかは と聞こゆ
大構造と係り受け
古語探訪
しろしめしたりげ 05069
「しろしめす」の意味はご存知である。「げ」(=らしい)とあるので、僧都の話によって、およそ実情がわかるのだろうとの推測であるという注があるが、でたらめだ。僧都から光が自分たちのことを聞いているなんて、女房が想像する根拠などない。これは、光の歌に「初草」「若葉」と出たため、あの時のやりとりが透き見されていたのだと女房は理解したのである。だが、そうだとすると、初草や若葉になぞらえられる紫はあまりに幼すぎて恋の相手などにならないのは、ご存知なはずであろうのに、相手は誰なのだろうと、女房は途惑うのである。