このゐたる大人例の 若紫02章09
目次
原文 読み 意味
このゐたる大人 例の 心なしの かかるわざをして さいなまるるこそ いと心づきなけれ いづ方へかまかりぬる いとをかしう やうやうなりつるものを 烏などもこそ見つくれ とて 立ちて行く
05032/難易度:☆☆☆
この/ゐ/たる/おとな れい/の こころなし/の かかる/わざ/を/し/て さいなま/るる/こそ いと/こころづきなけれ いづかた/へ/か/まかり/ぬる いと/をかしう やうやう/なり/つる/ものを からす/など/も/こそ/みつくれ とて たち/て/ゆく
そこに座っている女房が、「例によって、うっかり屋がそんなへまをして叱られるのはまったくいけ好かないけど、それにしても、どこへ行ったのだろう、本当にかわいくだんだんなってきたのに。烏なんかが見つけたらどうしましょう」と言って立ってゆく。
このゐたる大人 例の 心なしの かかるわざをして さいなまるるこそ いと心づきなけれ いづ方へかまかりぬる いとをかしう やうやうなりつるものを 烏などもこそ見つくれ とて 立ちて行く
大構造と係り受け
古語探訪
例の 05032
いつものことでまたの意味で、「さいなまるる」にかかる。
さいなまるる 05032
責められる・叱られる。
心づきなけれ 05032
好きになれない、困り者だ。なお、こそ……已然形だから、次ぎの文とは逆接の関係。
もこそ 05032
懸念を表す表現。