いかがたばかりけむ 若紫09章03
原文 読み 意味
いかがたばかりけむ いとわりなくて見たてまつるほどさへ 現とはおぼえぬぞ わびしきや
05138/難易度:☆☆☆
いかが/たばかり/けむ いと/わりなく/て/み/たてまつる/ほど/さへ うつつ/と/は/おぼエ/ぬ/ぞ わびしき/や
どのようにことを図ったのか、まことに倫(みち)ならぬ逢瀬であり、お抱き申し上げる間さえ現実とはお思いになれないことが、なんともやり切れない。
いかがたばかりけむ いとわりなくて見たてまつるほどさへ 現とはおぼえぬぞ わびしきや
大構造と係り受け
古語探訪
いかがたばかりけむ 05138
受けるものがなく、あたかも二人の内面を表すように宙ぶらりんで浮いている点に注意したい。
いとわりなくて 05138
「見たてまつる」にかけず、「わびしきや」にかける。藤壺に寄せる情熱の理不尽さではなく、道ならぬ逢瀬を結ぶ今の状況をいう。