七月になりてぞ参り 若紫09章19
目次
原文 読み 意味
七月になりてぞ参りたまひける めづらしうあはれにて いとどしき御思ひのほど限りなし すこしふくらかになりたまひて うちなやみ 面痩せたまへる はた げに似るものなくめでたし
05154/難易度:☆☆☆
ふづき/に/なり/て/ぞ/まゐり/たまひ/ける めづらしう/あはれ/に/て いとどしき/おほむ-おもひ/の/ほど/かぎり/なし すこし/ふくらか/に/なり/たまひ/て うち-なやみ おもやせ/たまへ/る はた げに/にる/もの/なく/めでたし
七月になってから、藤壺は参内なさるのだった。久しぶりの再会がうれしくまたいとしくて、ますますご寵愛の深さは限りがない。すこしふっくらとおなりになって、大儀そうで、面やつれなさっている様子も、やはり本当に似る人がないくらい美しい。
七月になりてぞ参りたまひける めづらしうあはれにて いとどしき御思ひのほど限りなし すこしふくらかになりたまひて うちなやみ 面痩せたまへる はた げに似るものなくめでたし
大構造と係り受け
古語探訪
七月になりてぞ参りたまひける 05154
懐妊して安定期に入った藤壺が宮中に参内すること。出産時には再び宮中を出て、三条の宮に行くことになる。
めづらしう 05154
滅多に見ないものを見つづけていたいという思いで、藤壺との久方ぶりの対面の喜びを示す。
はた 05154
それでいてやはりという感じ。