御湯殿などにも親し 若紫09章14

2021-05-06

原文 読み 意味

御湯殿などにも親しう仕うまつりて 何事の御気色をもしるく見たてまつり知れる御乳母子の弁 命婦などぞ あやしと思へど かたみに言ひあはすべきにあらねば なほ逃れがたかりける御宿世をぞ 命婦はあさましと思ふ

05149/難易度:☆☆☆

おほむ-ゆどの/など/に/も/したしう/つかうまつり/て なにごと/の/みけしき/を/も/しるく/み/たてまつり/しれ/る おほむ-めのとご/の/べん みやうぶ/など/ぞ あやし/と/おもへ/ど かたみ/に/いひ/あはす/べき/に/あら/ね/ば なほ/のがれ/がたかり/ける/おほむ-すくせ/を/ぞ みやうぶ/は/あさまし/と/おもふ

御湯殿なんかでも親しくお仕え申して、どのようなご様子でもはっきりと見て存じ上げている御乳母子(オンメノトゴ)の弁や命婦などは帝との間の子でないのではと思うけれど、お互い口にし合える筋合いのことではないので、やはりどうしてもお逃れるになれない前世からの御宿命であるのを、命婦はあまりのことだと思う。

御湯殿などにも親しう仕うまつりて 何事の御気色をもしるく見たてまつり知れる御乳母子の弁 命婦などぞ あやしと思へど かたみに言ひあはすべきにあらねば なほ逃れがたかりける御宿世をぞ 命婦はあさましと思ふ

大構造と係り受け

古語探訪

御乳母子の弁 05149

恐らく、母が藤壺の乳母子であり、その縁者(父や夫など)が太政官の弁官をしている女性。

命婦 05149

光が藤壺に逢えるよう無理に手配させた王命婦。従って、命婦は光の子であることを知っている。御乳母子の弁は知らない。

あやし 05149

帝との間の子であるなら、もっと早くお腹が大きくなっているはずだと、お腹の子の父が帝であることを疑ったこと。その相手を命婦は知っているが、御乳母子の弁は知らない。

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