大殿参りあひたまひ 若紫07章03
原文 読み 意味
大殿 参りあひたまひて 御迎へにもと思ひたまへつれど 忍びたる御歩きに いかがと思ひ憚りてなむ のどやかに一 二日うち休みたまへ とて やがて 御送り仕うまつらむ と申したまへば さしも思さねど 引かされてまかでたまふ
05111/難易度:☆☆☆
おほいどの まゐり/あひ/たまひ/て おほむ-むかへ/に/も/と/おもひ/たまへ/つれ/ど しのび/たる/おほむ-ありき/に いかが/と/おもひ/はばかり/て/なむ のどやか/に/いち ににち/うち-やすみ/たまへ とて やがて おほむ-おくり/つかうまつら/む と/まうし/たまへ/ば さしも/おぼさ/ね/ど ひかされ/て/まかで/たまふ
左大臣が参内し居合わせになって、「わたくしもお迎えにもと存知ましたが、お忍びのお出かけなのに、いかがなものかと思い憚られまして。のんびりと二日くらいちょっとご休息なさい」と言い、「このままお送り仕りましょう」と申し上げになるので、そんなお気持ちはないのだけれど、引かされてお出かけになる。
大殿 参りあひたまひて 御迎へにもと思ひたまへつれど 忍びたる御歩きに いかがと思ひ憚りてなむ のどやかに一 二日うち休みたまへ とて やがて 御送り仕うまつらむ と申したまへば さしも思さねど 引かされてまかでたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
参りあひたまひて 05111
偶然参内したところ居合わせたとの意味。光に会うために来たのだが、あとの発言にあるように、気を遣って偶然を装ったのである。
御迎へにも 05111
北山へ出迎えること。左大臣の息子である頭中将たちは出迎えに行ったのだから、ここの意味は、自分も息子たちと同じように出迎えるということ。「やがて」は、今このまますぐにということ。
さしも思さねど 05111
そんなつもりはなかったということ。左大臣邸に行く気はなかった。