ゆかりいとむつまし 若紫07章12
原文 読み 意味
ゆかりいとむつましきに いかでかと 深うおぼゆ
05120/難易度:☆☆☆
ゆかり/いと/むつましき/に いかで/か/と ふかう/おぼゆ
そのゆかりがまことに慕わしくて、なんとしたいと、深く思い込みになる。
ゆかりいとむつましきに いかでかと 深うおぼゆ
大構造と係り受け
古語探訪
深うおぼゆ 05120
葵が「とかう世を思し乱るること多かり」に対して、光は紫のことと深く考えたのである。「思し乱る」が気持ちがあれこれ散るのに対して、「深くおぼゆ」は一点に集中するのだ。この点からしても、「思し乱るる」の主体は光ではなく、葵である。結局、この段は、前回葵が「世を思し乱」れている間、光はなにをしていたかを物語っているのだ。他の古典は知らない、源氏物語に限っては、近代文学を読むときとは比較にならない精緻さが必要である。物語内時間に限らずである。