宮人に行きて語ら 若紫06章04
目次
原文 読み 意味
宮人に行きて語らむ山桜風よりさきに来てもみるべく
とのたまふ御もてなし 声づかひさへ 目もあやなるに
05090/難易度:☆☆☆
みやびと/に/ゆき/て/かたら/む/やまざくら/かぜ/より/さき/に/き/て/も/みる/べく
と/のたまふ/おほむ-もてなし こわづかひ/さへ め/も/あや/なる/に
《大宮人たちに戻って話そう この山桜の花を風に散る前に是非自分でも見に来るようにと》
とおっしゃる君の立ち居や声の調子までが、まぶしいくらいに美しいので、
宮人に行きて語らむ山桜風よりさきに来ても見るべく
とのたまふ御もてなし 声づかひさへ 目もあやなるに
大構造と係り受け
古語探訪
風よりさきに 05090
「風」はその前の「山桜」の「山」と結びついて、「嵐」をイメージさせる。風(嵐)よりさきに来るとは、花が散る前に来るということ。なお、大宮人に語る内容が第四第五句「山桜風よりさきに来ても見るべく」である。
来ても 05090
「も」は私の話を聞きだけでなく実際に来ても。
みる 05090
「こころみる」と「見る」をかける。また「行き」と「来」を読みこんだこともこの歌に動きをもたらしている。
御もてなし 05090
ふるまい方、ものごし、態度。
声づかひさへ目もあやなるに 05090
声は目に見えないから比ゆである。この聴覚と視覚との結びつきが、諸仏如来の説法のありがたさの比ゆに使われる優曇華を呼び起こす枕になっている。