今年ばかりの誓ひ深 若紫06章02
原文 読み 意味
今年ばかりの誓ひ深うはべりて 御送りにもえ参りはべるまじきこと なかなかにも思ひたまへらるべきかな など聞こえたまひて 大御酒参りたまふ
05088/難易度:☆☆☆
ことし/ばかり/の/ちかひ/ふかう/はべり/て おほむ-おくり/に/も/え/まゐり/はべる/まじき/こと なかなか/に/も/おもひ/たまへ/らる/べき/かな など/きこエ/たまひ/て おほみき/まゐり/たまふ
「今年までの誓いを固く立てましたゆえ、お見送りも参ることができませんのが、かえって別れがつらく感じられますもので」などと申し上げになって、お酒をさしあげになる。
今年ばかりの誓ひ深うはべりて 御送りにもえ参りはべるまじきこと なかなかにも思ひたまへらるべきかな など聞こえたまひて 大御酒参りたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
今年ばかりの誓ひ 05088
「なにがし僧都の二年籠りはべる方」とあったように、千日間の山籠りをしている最中。
なかなかにも思ひたまへらるべき 05088
光と会ったことでかえってつらい別れとなったのではなく、千日間行じるという立派な行いがかえって見送りできない仇となって、別れがいっそうつらいことを言う。