僧都琴をみづから持 若紫06章17
原文 読み 意味
僧都 琴をみづから持て参りて これ ただ御手一つあそばして 同じうは 山の鳥もおどろかしはべらむ
と切に聞こえたまへば 乱り心地 いと堪へがたきものを と聞こえたまへど けに憎からずかき鳴らして 皆立ちたまひぬ
050103/難易度:☆☆☆
そうづ きむ/を/みづから/もて/まゐり/て これ ただ/おほむ-て/ひとつ/あそばし/て おなじう/は やま/の/とり/も/おどろかし/はべら/む と/せち/に/きこエ/たまへ/ば みだりごこち いと/たへ/がたき/ものを と/きこエ/たまへ/ど けに/にくから/ず/かき-ならし/て みな/たち/たまひ/ぬ
「これを、一曲だけお弾きあそばして、どうせなら、山の鳥も驚かしてやりましょう」と熱心に依頼申されるので、「気分がすぐれずとても耐えがたいのに」とご返事なさるが、そんなにひどくなくかき鳴らしになり、みな出発なされた。
僧都 琴をみづから持て参りて これ ただ御手一つあそばして 同じうは 山の鳥もおどろかしはべらむ
と切に聞こえたまへば 乱り心地 いと堪へがたきものを と聞こえたまへど けに憎からずかき鳴らして 皆立ちたまひぬ
大構造と係り受け
古語探訪
同じうは 05103
どうせ宴をするなら自分たちだけで騒ぐのでなく、鳴き音のきれいな山の鳥までびっくりさせてやろうということ。前回述べた自然との交感である。それがうまく行ったのかどうか。「けにくからず」とあり、演奏は特別よかったのでもないらしい。