頭中将左中弁さらぬ 若紫06章13

2021-05-04

原文 読み 意味

頭中将 左中弁 さらぬ君達も慕ひきこえて かうやうの御供には 仕うまつりはべらむ と思ひたまふるを あさましく おくらさせたまへること と恨みきこえて いといみじき花の蔭に しばしもやすらはず 立ち帰りはべらむは 飽かぬわざかな とのたまふ

05099/難易度:☆☆☆

とうのちゆうじやう さちゆうべん さらぬ/きみたち/も/したひ/きこエ/て かうやう/の/おほむ-とも/に/は つかうまつり/はべら/む と/おもひ/たまふる/を あさましく おくらさ/せ/たまへ/る/こと と/うらみ/きこエ/て いと/いみじき/はな/の/かげ/に しばし/も/やすらは/ず たちかへり/はべら/む/は あか/ぬ/わざ/かな と/のたまふ

頭中将や左中弁、またふたりほど身分の高くないお子様方もお慕い申し上げて、「このようなお供には、お仕え申しましょうと存じておりますのに、おどろいたことにまあ、置き去りになさるとは」とお恨み申し上げて、「とても見事な桜の下で、すこしの間もやすらうことなく、もどって行かれるのは、飽き足りない行いですよ」とおっしゃる。

頭中将 左中弁 さらぬ君達も慕ひきこえて かうやうの御供には 仕うまつりはべらむ と思ひたまふるを あさましく おくらさせたまへること と恨みきこえて いといみじき花の蔭に しばしもやすらはず 立ち帰りはべらむは 飽かぬわざかな とのたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

さらぬ君達 05099

頭中将や左中弁ほど身分の高くない「君たち(=左大臣のご子息)」。

あさましく 05099

心外であるとの気持ち。当然自分にお声がかりがあるものとおもっていたのに、そうでなかったことが原因。この「あさましく」は、文修飾の語、「おくらさせたまへる」ことが「あさまし」なのである。これが地の文であれば、草子地と呼ばれる。

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