みなおぼつかなから 若紫05章16
目次
原文 読み 意味
みな おぼつかなからずうけたまはるものを 所狭う思し憚らで 思ひたまへ寄るさまことなる心のほどを 御覧ぜよ と聞こえたまへど いと似げなきことを さも知らでのたまふ と思して 心解けたる御答へもなし
05079/難易度:☆☆☆
みな おぼつかなから/ず/うけたまはる/ものを ところせう/おぼし/はばから/で おもひ/たまへ/よる/さま/こと/なる/こころ/の/ほど/を ごらんぜ/よ と/きこエ/たまへ/ど いと/にげなき/こと/を さも/しら/で/のたまふ と/おぼし/て こころとけ/たる/おほむ-いらへ/も/なし
「すべてあいまいなところなくお聞きしておりますものを、大層にとってご遠慮なさらず、お慕い申しております様子、人とは異なる心のうちをご覧下さい」と申し上げになるが、まったく似つきはしない年齢なのに、そうとも知らずおっしゃられると尼君はお考えになり、うちとけたご返答もなさらない。
みな おぼつかなからずうけたまはるものを 所狭う思し憚らで 思ひたまへ寄るさまことなる心のほどを 御覧ぜよ と聞こえたまへど いと似げなきことを さも知らでのたまふ と思して 心解けたる御答へもなし
大構造と係り受け
古語探訪
所狭う 05079
儀式ばる、窮屈にとらえるなどの意味。もっとざっくばらんに考えてほしいのだ。あとで出る「心とけたる」が反意語になる。
ことなる 05079
人と違う、特別な。
似げなきこと 05079
恋愛対象として年齢が低すぎ釣り合わないの意味。
さも 05079
そうとも、不釣合いとも。