そらだきものいと心 若紫03章08

2021-04-28

原文 読み 意味

そらだきもの いと心にくく薫り出で 名香の香など匂ひみちたるに 君の御追風いとことなれば 内の人びとも心づかひすべかめり

05052/難易度:☆☆☆

そらだきもの いと/こころ/にくく/かをり/いで みやうがう/の/か/など/にほひ/みち/たる/に きみ/の/おほむ-おひかぜ/いと/こと/なれ/ば うち/の/ひとびと/も/こころづかひ/す/べか/めり

ほのかな香りが奥ゆかしくどこからともなくかおり来て、仏に奉るお香なども部屋に満ち、さらに追い風となる君のお召し物の香りは特別し立てなので、坊内の人々もきっと心遣いをするであろう。

そらだきもの いと心にくく薫り出で 名香の香など匂ひみちたるに 君の御追風いとことなれば 内の人びとも心づかひすべかめり

大構造と係り受け

古語探訪

名香 05052

仏へ奉るお香。

御追風 05052

光の衣服の移り香を、追い風(香りを運ぶ風)に見立てたもの。

いとことなれば 05052

空蝉が香りをかいだだけで光だとわかったように、光の移り香は特殊な香りがするのである。

内の人びと 05052

屋敷内にいる人のこと。源氏物語では四例あるが、とくに誰かれなく邸内にいる人々全般を意味すると思われる。すなわち、貴人である光の来訪に坊内が騒然としている様子であろう。

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