すなはち僧都参りた 若紫03章04
原文 読み 意味
すなはち 僧都参りたまへり 法師なれど いと心恥づかしく人柄もやむごとなく 世に思はれたまへる人なれば 軽々しき御ありさまを はしたなう思す
05048/難易度:☆☆☆
すなはち そうづ/まゐり/たまへ/り ほふし/なれ/ど いと/こころはづかしく/ひとがら/も/やむごとなく よ/に/おもは/れ/たまへ/る/ひと/なれ/ば かるがるしき/おほむ-ありさま/を はしたなう/おぼす
すぐに僧都が参上された。法師の身ではあるが、とても気が引ける人で、人品もこの上なく、世人の尊敬を集めておられる人なので、簡素なお忍びの姿を、決まり悪くお思いになる。
すなはち 僧都参りたまへり 法師なれど いと心恥づかしく人柄もやむごとなく 世に思はれたまへる人なれば 軽々しき御ありさまを はしたなう思す
大構造と係り受け
古語探訪
すなわち 05048
即座に。弟子が挨拶をした報告を僧都にし終わるとすぐ。「法師なれどいと心恥づかしく」とあるのは、法師に対しては、恋の相談、罪の告白、犯罪などあらゆる相談役であったので、気がねをしないのが普通だったのだろう。法師一般がそういう存在なのだから、心恥づかしく感じられるのは、この僧都固有の理由のはずである。そのうち人品は次に述べられるのだから、精神性でなく肉体的なことだろう。まったくの推測だが、年はいっているものの、僧都にしては美貌の持ち主ではなかったか。尼君や紫との血縁を考える、そんな気がするのだが、どうであろう。