さるは限りなう心を 若紫02章13

2021-04-28

原文 読み 意味

さるは 限りなう心を尽くしきこゆる人に いとよう似たてまつれるが まもらるるなりけり と 思ふにも涙ぞ落つる

05036/難易度:☆☆☆

さるは かぎりなう/こころ/を/つくし/きこゆる/ひと/に いと/よう/に/たてまつれ/る/が まもら/るる/なり/けり/と おもふ/に/も/なみだ/ぞ/おつる

というのも、限りなく真心を尽くしてお慕い申し上げている方に、とてもよく似ておいでのために、つい見とれてしまうのだなと、思うにつけ涙がこぼれ落ちる。

さるは 限りなう心を尽くしきこゆる人に いとよう似たてまつれるが まもらるるなりけり と 思ふにも涙ぞ落つる

大構造と係り受け

古語探訪

さるは 05036

事実としての結果が先に描写され、その原因をあとから述べるときに使われる接続語。少女がただかわいいというのではなく、藤壺に似ているために、自然と心惹かれたのだと、光が認識する場面。

限りなう心を尽くしきこゆる人 05036

藤壺をさす。

まもらるる 05036

つい目がそちらにゆく。

なりけり 05036

そういう理由だったのかと気づいた驚きをあらわす。光・藤壺・紫の上の関係がここで先ず規定されていることに注意。この枠組みが最後まで維持されるのか、そこに変化があるのか、微妙な変化があっても大枠は変らないのか、源氏物語のひとつの読みどころである。

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