さるは限りなう心を 若紫02章13
目次
原文 読み 意味
さるは 限りなう心を尽くしきこゆる人に いとよう似たてまつれるが まもらるるなりけり と 思ふにも涙ぞ落つる
05036/難易度:☆☆☆
さるは かぎりなう/こころ/を/つくし/きこゆる/ひと/に いと/よう/に/たてまつれ/る/が まもら/るる/なり/けり/と おもふ/に/も/なみだ/ぞ/おつる
というのも、限りなく真心を尽くしてお慕い申し上げている方に、とてもよく似ておいでのために、つい見とれてしまうのだなと、思うにつけ涙がこぼれ落ちる。
さるは 限りなう心を尽くしきこゆる人に いとよう似たてまつれるが まもらるるなりけり と 思ふにも涙ぞ落つる
大構造と係り受け
古語探訪
さるは 05036
事実としての結果が先に描写され、その原因をあとから述べるときに使われる接続語。少女がただかわいいというのではなく、藤壺に似ているために、自然と心惹かれたのだと、光が認識する場面。
限りなう心を尽くしきこゆる人 05036
藤壺をさす。
まもらるる 05036
つい目がそちらにゆく。
なりけり 05036
そういう理由だったのかと気づいた驚きをあらわす。光・藤壺・紫の上の関係がここで先ず規定されていることに注意。この枠組みが最後まで維持されるのか、そこに変化があるのか、微妙な変化があっても大枠は変らないのか、源氏物語のひとつの読みどころである。