尼君いであな幼や言 若紫02章11
目次
原文 読み 意味
尼君 いで あな幼や 言ふかひなうものしたまふかな おのが かく 今日明日におぼゆる命をば 何とも思したらで 雀慕ひたまふほどよ 罪得ることぞと 常に聞こゆるを 心憂く とて こちや と言へば ついゐたり
05034/難易度:☆☆☆
あまぎみ いで あな/をさな/や いふかひなう/ものし/たまふ/かな おのが かく けふ/あす/に/おぼゆる/いのち/を/ば なに/と/も/おぼし/たら/で すずめ/したひ/たまふ/ほど/よ つみ/うる/こと/ぞ/と つね/に/きこゆる/を こころうく とて こち/や と/いへ/ば つい-ゐ/たり
尼君は、「まあ、なんと幼稚な。話にもならないあられようだこと。わたしがこんなふうに今日明日とも知れぬ命であるのを、何ともお考えにならないで、雀をお慕いあそばす度合といったら。ばちが当たる行いだと、常々申しておりますに、情けない」と言って、こちゃへと招けば、そばへ行って膝をついて座った。
尼君 いで あな幼や 言ふかひなうものしたまふかな おのが かく 今日明日におぼゆる命をば 何とも思したらで 雀慕ひたまふほどよ 罪得ることぞと 常に聞こゆるを 心憂く とて こちや と言へば ついゐたり
大構造と係り受け
古語探訪
ほどよ 05034
程度の強さへの不満。
罪 05034
生き物を捕らえることによる仏罰。
こと 05034
形式名詞の「こと」ではなく、この場合は、行為の意味。
心憂く 05034
つくづく情けなく思う気持ち。
ついゐ 05034
「突き居る」で、膝をついて座る。