髪ゆるるかにいと長 若紫02章10
目次
原文 読み 意味
髪ゆるるかにいと長く めやすき人なめり 少納言の乳母とこそ人言ふめるは この子の後見なるべし
05033/難易度:☆☆☆
かみ/ゆるるか/に/いと/ながく めやすき/ひと/な/めり せうなごん/の/めのと/と/こそ/ひと/いふ/める/は この/こ/の/うしろみ/なる/べし
髪がふんわりととても長く、顔も見よい女のようだ。少納言の乳母と人が言っているようだから、この子の世話役なのだろう。
髪ゆるるかにいと長く めやすき人なめり 少納言の乳母とこそ人言ふめるは この子の後見なるべし
大構造と係り受け
古語探訪
めやすき人なめり 05033
「めり」は判断が断定できない推測であることを表す表現だから、光は女房の後姿(特に髪)だけ見て、顔もいいだろうなと判断したことがわかる。
少納言の乳母とこそ人言ふめるはこの子の後見なるべし 05033
「AはBなるべし」は一種の固定表現。Aが判断理由で、Bに判断が入る。例えば、「右近の司の宿直奏の声聞こゆるは、丑になりぬるなるべし」で、丑の刻だと判断した理由が、右近の司の宿直申しの声が聞こえることなのである。ここも、人々が少納言の乳母と言っているようだから、この子の世話役だろうと光は判断したのである。