書きそこなひつと恥 若紫16章05
原文 読み 意味
書きそこなひつ と恥ぢて隠したまふを せめて見たまへば
かこつべきゆゑを知らねばおぼつかないかなる草のゆかりなるらむ
と いと若けれど 生ひ先見えて ふくよかに書いたまへり
05261/難易度:☆☆☆
かき/そこなひ/つ と/はぢ/て/かくし/たまふ/を せめて/み/たまへ/ば
かこつ/べき/ゆゑ/を/しら/ね/ば/おぼつかな/いかなる/くさ/の/ゆかり/なる/らむ
と いと/わかけれ/ど おひさき/みエ/て ふくよか/に/かい/たまへ/り
「書き損なった」と恥ずかしく思いお隠しになるのを、強いてご覧になると、
《連想が働いてしまう理由を知らないので気になります わたしはどういう草のゆかりなのでしょう》
と、とても幼いけれど、上達したあかつきの様が知られように、ふっくらとした字でお書きになった。
書きそこなひつ と恥ぢて隠したまふを せめて見たまへば
かこつべきゆゑを知らねばおぼつかないかなる草のゆかりなるらむ
と いと若けれど 生ひ先見えて ふくよかに書いたまへり
大構造と係り受け
古語探訪
かこつべき 05261
光の引用の場合と同じ「連想する」。「べき」は当然。