すこし小さくて ね 若紫16章03
原文 読み 意味
すこし小さくて
ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを
とあり
05259/難易度:☆☆☆
すこし/ちひさく/て
ね/は/み/ね/ど/あはれ/と/ぞ/おもふ/むさしの/の/つゆ/わけ/わぶる/くさ/の/ゆかり/を
と/あり
すこし小さな字で、
《共寝もせずまだその正体である根を見ないが 愛しく思う武蔵野の 露をわけて逢いに行きがたい紫草の そのゆかりであるあなたのことを》
と、添えてある。
すこし小さくて
ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを
とあり
大構造と係り受け
古語探訪
ねは見ねど 05259
「根」を見ていないと、「寝」たことがないの意味をかける。「根」とあるのは、以前、光が尼君に対して紫を引き取りたいと思って詠んだ歌「手に摘みていつしかも見む紫の根にかよひける野辺の若草」が響いている。
露分けわぶる草 05259
露をわけてそこへ行くことができかねる草の意味で、この草は藤壺を指す。その「ゆかり」はもちろん、この女君。