北の方も母君を憎し 若紫16章11
原文 読み 意味
北の方も 母君を憎しと思ひきこえたまひける心も失せて わが心にまかせつべう思しけるに違ひぬるは 口惜しう思しけり
05267/難易度:☆☆☆
きたのかた/も ははぎみ/を/にくし/と/おもひ/きこエ/たまひ/ける/こころ/も/うせ/て わが/こころ/に/まかせ/つ/べう/おぼし/ける/に/たがひ/ぬる/は くちをしう/おぼし/けり
父宮のご正妻も、娘君の母君をにくいと思い申し上げてきた気持ちも消えて、こちらの思い通りにできると思っておられたのに、かなわなくなったのは、残念であるとお思いになった。
北の方も 母君を憎しと思ひきこえたまひける心も失せて わが心にまかせつべう思しけるに違ひぬるは 口惜しう思しけり
大構造と係り受け
古語探訪
母君 05267
尼君の娘で、兵部卿宮との間に紫を生んだ母。
わが心にまかせつべう 05267
思い通りにできる。よい縁組みをして家を発展できる可能性があったのにそれを失った。兵部卿宮よりもさらに紫を利用する意志がはっきりと述べられている。