明けゆくままに見わ 若紫15章09
原文 読み 意味
明けゆくままに 見わたせば 御殿の造りざま しつらひざま さらにも言はず 庭の砂子も玉を重ねたらむやうに見えて かかやく心地するに はしたなく思ひゐたれど こなたには女などもさぶらはざりけり
05247/難易度:☆☆☆
あけ/ゆく/まま/に みわたせ/ば おとど/の/つくり/ざま しつらひ/ざま さらに/も/いは/ず には/の/すなご/も/たま/を/かさね/たら/む/やう/に/みエ/て かかやく/ここち/する/に はしたなく/おもひ/ゐ/たれ/ど こなた/に/は/をむな/など/も/さぶらは/ざり/けり
明けゆくままに見渡すと、御殿の様子や、部屋のありさまは、言うまでもなく立派で。庭の真砂も玉を敷き詰めたように見えて、光り輝く感じがして、恥じ入る思いで座っていたけれど、こちらには女房たちも側仕えしていなかった。
明けゆくままに 見わたせば 御殿の造りざま しつらひざま さらにも言はず 庭の砂子も玉を重ねたらむやうに見えて かかやく心地するに はしたなく思ひゐたれど こなたには女などもさぶらはざりけり
大構造と係り受け
古語探訪
はしたなく 05247
「はしたなく思ひたれど、こなたには女などもさぶらはざりけり」と続くことから、「はしたなさ」に対して隠したい対象が必要であることがわかる。したがって、気詰まりという解釈はおかしい。ひとりでも気詰まりになれるからだ。