若君はいとむくつけ 若紫15章06
原文 読み 意味
若君は いとむくつけく いかにすることならむと ふるはれたまへど さすがに声立ててもえ泣きたまはず 少納言がもとに寝む とのたまふ声 いと若し
05244/難易度:☆☆☆
わかぎみ/は いと/むくつけく いかに/する/こと/なら/む/と ふるは/れ/たまへ/ど さすがに/こゑ/たて/て/も/え/なき/たまは/ず せうなごん/が/もと/に/ね/む と/のたまふ/こゑ いと/わかし
女君は、ひどく不気味に感じ、自分はどういうことになるのかと、震えておられながらも、さすがに声を出してはお泣きにならない。「少納言のところで寝るの」とおっしゃる声は、とても幼い。
若君は いとむくつけく いかにすることならむと ふるはれたまへど さすがに声立ててもえ泣きたまはず 少納言がもとに寝む とのたまふ声 いと若し
大構造と係り受け
古語探訪
むくつけく 05244
鬼や霊などに対して不気味に感じること。相手である光を鬼ではないかと恐れた夕顔が思い出される。
いかにすることならむ 05244
諸注は主体を光と考えるが、敬語がないためやや無理がある。心内語では敬語が用いられないことがあるが、その多くは回避できるか誤読である。ここも、光とせず、自分はどうなるのかと考えれば敬語は必要なくなる。「何するのよ、助けて!」と、映画やテレビの強姦シーンが頭にこびりついている現代の感覚が、そういう解釈を生んでいるのかもね。