いかでかう人少なに 若紫12章02
原文 読み 意味
いかで かう人少なに心細うて 過ぐしたまふらむ と うち泣いたまひて いと見棄てがたきほどなれば
御格子参りね もの恐ろしき夜のさまなめるを 宿直人にてはべらむ 人びと 近うさぶらはれよかし とて いと馴れ顔に御帳のうちに入りたまへば あやしう思ひのほかにもと あきれて 誰も誰もゐたり
05193/難易度:☆☆☆
いかで かう/ひと/ずくな/に/こころぼそう/て すぐし/たまふ/らむ と うち-ない/たまひ/て いと/み/すて/がたき/ほど/なれ/ば みかうし/まゐり/ね もの-おそろしき/よ/の/さま/な/める/を とのゐびと/にて/はべら/む ひとびと ちかう/さぶらは/れ/よ/かし とて いと/なれがほ/に/みちやう/の/うち/に/いり/たまへ/ば あやしう/おもひ/の/ほか/に/も/と あきれ/て たれ/も/たれ/も/ゐ/たり
「どうして、こう人気なく心細いままで、お過ごしになれるだろう」と、ついお泣きになって、とても見捨てて帰れそうにない有様なので、「御格子を下ろしなさい。この分ではどうにもそら恐ろしい夜の様子になろうから、宿直人になって仕えよう。みな、近く寄り添うがよい」と、ひどく馴れた顔で、御帳の中へお入りになるので、異常で考えてもいないことで、驚きあきれ、みながみなそこに座っていた。
いかで かう人少なに心細うて 過ぐしたまふらむ と うち泣いたまひて いと見棄てがたきほどなれば
御格子参りね もの恐ろしき夜のさまなめるを 宿直人にてはべらむ 人びと 近うさぶらはれよかし とて いと馴れ顔に御帳のうちに入りたまへば あやしう思ひのほかにもと あきれて 誰も誰もゐたり