日高う大殿籠もり起 若紫12章16
原文 読み 意味
日高う大殿籠もり起きて 文やりたまふに 書くべき言葉も例ならねば 筆うち置きつつすさびゐたまへり をかしき絵などをやりたまふ
05207/難易度:☆☆☆
ひ/たかう/おほとのごもり/おき/て ふみ/やり/たまふ/に かく/べき/ことば/も/れい/なら/ね/ば ふで/うち-おき/つつ/すさび/ゐ/たまへ/り をかしき/ゑ/など/を/やり/たまふ
日が高くなってから寝所から起き出され、手紙をお出しになるが、後朝の歌として当然書くべき言葉もふつうの場合とは違うので、筆をつい置いては興にまかせてお書き続けになる。興味をひくような絵などをお送りになる。
日高う大殿籠もり起きて 文やりたまふに 書くべき言葉も例ならねば 筆うち置きつつすさびゐたまへり をかしき絵などをやりたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
書くべき言葉も例ならねば 05207
普通は後朝の歌を贈るところであるが、紫とはそういう関係でなく、大人の歌もふさわしくないので、言葉に窮しているのだ。
すさび 05207
興にまかせてすること。あまり真剣でなく興味本位である。