また人も出で来ねば 若紫12章14
原文 読み 意味
また人も出で来ねば 帰るも情けなけれど 明けゆく空もはしたなくて殿へおはしぬ
05205/難易度:☆☆☆
また/ひと/も/いで/こ/ね/ば かへる/も/なさけなけれ/ど あけゆく/そら/も/はしたなく/て/との/へ/おはし/ぬ
再び誰も出てこないので、帰るのも愛情のないことだが、明け行く空に訪れるのも不作法で格好がつかないので、二条院へ戻られた。
また人も出で来ねば 帰るも情けなけれど 明けゆく空もはしたなくて殿へおはしぬ
大構造と係り受け
古語探訪
情け 05205
風情ではなく、女への愛情。
明けゆく空もはしたなくて 05205
空が明けてゆくのでみっともないではない。夜明けに女のもとへ通うことが、その女に対して無礼でみっともないこと。周りの目でなく、相手の女の目を気にしているのである。それは、女のもとへ通うのは夕方かた夜と決まっていた。朝は別れの時間なのだ。それなのに、女の門を叩いたということは、どこかよその女の帰りであることを意味する。
殿 05205
二条院。